江戸甘味噌の歴史
1590年(天正18年)に徳川家康が江戸の町造りを始めると、様々な味噌が各地方から持ち込まれていましたが、関西の白味噌とは異なる、大豆由来の香味と独特の光沢や風味を持つ江戸甘味噌が改良によって生まれ、江戸っ子の人気を博すようになります。
当時、味噌は高級品で自家醸造が一般的でしたが、人口増と慢性的な土地不足で家が狭く、味噌を保存しておく余裕がない江戸では、味噌を買うのが一般的でした。
江戸では毎朝味噌汁を飲む習慣があり(京阪地方では月に数回)、味噌は大量に消費されていたこともあり、徐々に江戸の醸造家によって作られるようになりました。それゆえ、味噌業が一般化したのが江戸だとも言われています。
江戸っ子達が愛した味噌は、白味噌、仙台味噌、田舎味噌(麦味噌)、八丁味噌とともに日本を代表する「5大味噌」として知られていました。しかし明治期半ば以降徐々に衰退し、先の戦争での製造禁止を契機に世の中から姿を消してしまいます。
しかし、1951年(昭和26年)に統制が解除になったため、古くからの得意先である都内の老舗料理店などの強い要望により、復活を果たしました。
江戸甘味噌の特徴
産地 | 東京都 |
分類 | 米味噌 |
原料 | 米麹・大豆 |
色 | 光沢のある赤褐色または茶褐色 |
味 | 大豆と米麹がほぼ同量で、塩分少なめでとろりとした独特の甘口。さっぱりとしていてクセがなく、比較的柔らかい。 |
その他
江戸味噌は、信州味噌に比べると麹が2倍、塩が半分。熟成期間が10日間程度と短くなっています。そのためフレッシュで味噌臭がなく、すっきりと洗練した味わい。軽やかな甘みはすっと引き、後味さっぱり。
日本酒だと吟醸酒に相当するような味わいです。